駆 動 輪 。

その脚を、ゆっくりと前へ。

その、Islands Blueに乗って…...(4)

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25日夜に東京・竹芝を出発し、26日朝に八丈島着。
本来なら八丈島からヘリで先回りして御蔵島から船に乗って26日の夜には東京・竹芝に到着し、2代目さるびあ丸の勇退をその目でしっかり見届けるはずでしたが、んま~御蔵島から船に乗れず、仕方なく八丈島に戻って一泊しまして現在時刻は26日午前7時。

朝9時の羽田行きの飛行機に乗ることを考えて、朝7時には起床してロッジの朝食を食べることを打ち合わせて就寝したので、時間通り起床して朝食をいただきます。写真はありません、眠くて全然カメラを持っていくことを忘れていましたが、とてもおいしかったのは覚えています。

 

で、各々支度を済ませてチェックアウト。ロッジの方には急な宿泊にも関わらず大変お世話になりました。ありがとうございました。

…と言ってタクシーを待っている間に、住んでいるマンションのカードキーがないことに気づいて、慌てて部屋に戻るも見当たらず。鞄をひっくり返しても見当たらず。オートロックなのでカードがないと部屋に入れません。これはマズい。

しかし飛行機の時間も着々と近づいていますので、ここは涙をのんでカギは諦めることにしました。羽田到着予定は午前10時過ぎですから、そこから不動産屋に電話を入れて予備のカードを用意してもらい、引き取ることは安易にできるでしょう。鍵交換費用が恐ろしいことになりそうですが仕方ありません。

 

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で。空港に到着して、昨日の御蔵島から八丈島へ戻るヘリに同乗していたおじいさんと世間話をしたり、ヘリの受付窓口で『KEYって書かれたカードキーの忘れ物を探していて…』と申し出たら受付のお姉さんに『KEY、ですか…(笑)』と小笑いされていたら案内板が更新され…待って、これ、なに…?

羽田から飛んで来る便が折り返し羽田行きになるわけですが、八丈島空港への着陸に戸惑っている様子。いうほど酷い雨風ではありませんが、曰く『視界不良』とのこと。たしかに外はガスってますけど、え、これまさか飛行機が欠航になるなんてことは、いやいや、そんな昨日の船に続いて飛行機まで欠航だなんて、そんな、ねぇ…

などと一人不安に駆られている傍ら、案内アナウンスでは搭乗案内が遅れる旨の放送が始まり、また荷物検査もいったんストップする始末。おいおい、この流れはよくないぞ…

 

近くにいた、お見送り(?)のご婦人『欠航でた!!!!』

 

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その30秒後、我々はいち早くタクシーに乗って港へ向かっていました(笑)。

タクシーの運転士さんが『あんたたち、まだいたの?』と聞いてきたので首をかしげていると、なんと1日目に港から空港まで送ってくれた方でした。今回の事の顛末を話すと笑いだしました。いやいや、笑い事じゃないんですよ…

 

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港には出港準備中の、先日ドッグアウトしたばかりの橘丸。これに乗って竹芝へ戻ります。これが文字通り最後の希望、船まで欠航したら更に八丈島で一泊することになるわけですが、さすがに神様もそこまで見放すことはなく、どうにか滑り込みで乗船券を購入。さらに空港から搭乗予定だった人たちが続々と港に到着し船に乗り込みます。みんな慌てることも混乱することもなく冷静で、あ~慣れているんだな~と。

 

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先日ドッグアウトしたばかりなので、当然船内はピカピカです。

 

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ということで出航。同じ東京とは思えないほどに海が青い。そして晴れてる。
飛行機がもう1時間遅ければ着陸できて、無事に羽田行きも飛んだことでしょうに、なんてタイミングの悪さでしょう。とほほ。

 

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御蔵島に到着。今日はしっかり寄港できました。
『こうなるとわかっていれば船のチケット払い戻しせず変更対応してもらえばよかった』『その方が安く船に乗れたのに…』と寅さんが頭を抱えていますが後の祭り。そんな未来が予知できたなら、最初からヘリに乗ってないよ…。

画像はカメラの設定ミスで真っ白になってしまいましたが、昨日の欠航を教えてくれた駐在さんも港に立ち寄って乗船客の案内をされてました。山の上のヘリポートでも、山の下の港でもご苦労様です。
ちなみに駐在さんも(当然昨日の今日なので)我々を覚えていてくれたらしく、私が船上から事の顛末を話すと笑いだしました。いやいや、笑い事じゃないんですよ…

 

出発して我々が小さくなるまで手を振ってくれた駐在さんや港の関係者さんの姿にちょっと名残惜しさを感じながら、しかしまあ御蔵島にくる機会が今後あるのか疑問ですが、また来たいなと思いつつ手を振り返してお別れ。

 

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三宅島到着前に大事なことを思い出しました。そう、カードキーがないのです。
船が竹芝に到着するのは20時頃。不動産屋は営業終了していますから、今日中のカギの受け取りは難しい。えっ、つまり私だけ家に帰れないわけ???まって明日(28日)は昼前から仕事なんですけど???仕事道具とか家なんですけど???

ダメもとで不動産屋に連絡するも、やはり本日中にカードキーを受け取ることはできない様子。ただ不動産屋さんも鬼ではありませんから、明日の営業時間開始と共にカードキーを受け渡せるよう手配してくれる様子。ギリギリですが仕事には間に合いそうです。フラグじゃなければ。

 

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長い乗船時間、退屈なので船の食堂でお昼を食べてみたり、潮風にあたってメガネを汚してみたり、2等客室でうたた寝してみたり、船内詮索します。

空港で話していたヘリのおじさんと遭遇。どうやら本土には通院で行く予定だったらしく、予定がパーになったので病院の予約を取り直したとのこと。我々観光人と違って島の人たちは割引料金で船やヘリに乗れるとはいえ、時間ロスと共に痛い出費だとおっしゃっていました。ちなみに私が今回の事の顛末を話すと笑いだしました。いやいや、笑い事じゃないんですよ…

 

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などと言っているうちに船は東京湾へ。レインボーブリッヂをくぐれば竹芝です。
ちょうどその頃、宿泊したロッジから私に電話がはいりました。

受付の人『宿泊された皆様に伺っているんですけど、お忘れ物でカードキーのようなものがありまして…』
私『私です…』

結局着払いで郵送してくれることで話がまとまりました。届くのは4~5日後だそうです。結局今夜は家なき子に変わりありませんが、とりあえず一安心。ロッジの方、お手数おかけしました。鍵は先日ちゃんと受け取ることができました。

 

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竹芝には3代目さるびあ丸が停泊してました。次回以降の納涼船はこの新しい東海汽船さんの顔で行われることになります。楽しみですね。
…幹事を務める茶さんから『福遠さんは僕に対して当たりが強い』『スケジュールをクラッシュしていく』『今回の旅の原因だ』と散々言われたので次回の納涼船への参加は正直微妙なところ。もうすこしゴマをすればよかったです(適当)。

 

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浜松町で寅さんと別れ(宇都宮線の人身事故で高崎線ダイヤ乱れに巻き込まれたらしいですね、誰のせいだろう)、新宿で茶さんと別れ(また色々よろしくお願いします)、池袋から父親が住まう埼玉の家まで着席課金します。立って帰る余裕なんてありません。

 

電車内で撮影した写真たちを見返すと『あれ撮っとけばよかった』『この構図のがよかった』などと後悔することもあるのですが、ふと一枚の写真で指が止まりました。

 

f:id:tenousu-4472:20200704205735j:plain往路で2代目さるびあ丸内に掲示されていた、島の小学生たちによって寄せられたメッセージのひとつ。これを何故撮影したのかは定かではないのですが、見返してみると気づいたら涙腺が緩んでいました。

 

本州で暮らす我々からすれば、電車やバス・飛行機は種類も本数も多いわけですが、伊豆諸島に住まう人々にとっての公共交通機関は種類も本数も限られています。そして、その代表ともいえるのが、きっと”さるびあ丸”だったに違いありません。

船旅はいいものです。飛行機でさくっと本州を往復できるのは勿論便利なのですが、飛行機では体験できない時間の流れと、景色がそこにはあります。きっとこの子も、海が好きで、船から見える眺めが好きで、船で過ごす時間が好きで、さるびあ丸が好きだったのでしょう。

いえ、この子だけではありません。小学校のみんな、もっといえば島のみんながこの船が好きで、好きで、たまらなく愛おしく、そして特別だったに違いありません。

晴れ晴れとした海を駆け抜けるさるびあ丸の姿に元気をもらって、海が湿気て船が出ない日はちょっと憂鬱になる。そんな人もいたかもしれません。

 

f:id:tenousu-4472:20200704210816j:plainさるびあ丸は大切な家族だったーーー

 

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『いってらっしゃい!』『おかえりなさい!』
港へ行くことが、君に会えるのがすごく楽しみだったーーー

f:id:tenousu-4472:20200704212659j:plain『雨の日も、風が強い日も、お前を絶対に接岸させてやる…!』
不慣れな作業で迷惑をかけたこともあったけど、いまじゃあ立派に仕事をこなせるようになったのもお前が教えてくれたおかげだーーー

 

f:id:tenousu-4472:20200704212739j:plainお前の姿を見れなくなるのは寂しいけどー

 

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今、君に贈りたい。風に乗せて、今までずっと言えなかった言葉。

ありがとう。

そして、お疲れ様。

 

 

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茶 先輩sideの旅の様子はこちら。